クエイ兄弟―ファントム・ミュージアム―
クエイ兄弟―ファントム・ミュージアム―
平成29(2017)年6月6日~7月23日@渋谷区立松濤美術館(¥800)
やっぱり「ストリート・オブ・クロコダイル」は良いものだ。何がどう良いのかはさっぱりわからんが、わからないまま引き込まれる。抽斗を開けてみたくなる。人形の背中側を覗いてみたくなる。裏路地に迷い込みたくなる。
今回好きになったのは「カリグラファー」という短い映像作品。紙の男が浅葱色の羽ペンで文字を描くだけなんだけど、天井からにゅっと出てくるペン先や、男が線をスッと引いた時の手首の残像あるいは増殖、そしてその手首らがそれぞれクルクルと躍るように絵を描いていく様が気持ちいい。
一番刺さったのはカフカの「兄弟殺し」から着想を得た学生時代のイラスト。これはただのフェチ。暴力的なものってなんか好きだ。LSDというゲームの夜の埠頭のマップがツボ。こんなこと外じゃ言えない。いや、隠してる方がヤバイのか?
生きて、食べて、書いた。―作家と食
「生きて、食べて、書いた。―作家と食」
平成29年4月15日~7月8日@石神井公園ふるさと文化館分室
練馬区ゆかりの作家、草野心平・檀一雄・田中小実昌・藤沢周平・野坂昭如と食に関する展示。パンフレットが可愛くてつい行っちゃった。サントリーの豆本『洋酒マメ天国』に描かれた磯田尚男さんのイラストらしい。
檀一雄の書斎「奇放亭」の再現があった。ドン・キホーテから名付けたそうだ。
草野心平は昭和24(1949)年から昭和27(1952)年まで上石神井の御嶽神社に寄寓していて、よく神主と間違えられたと書いてあった。笑
居酒屋「火の車」の再現写真パネルもあって、この実物はいわき市の草野心平記念文学館にあるらしい。メニューは「赤と黒」「北方」「冬」「雪由」など、一見さんにはなんのことだかさっぱりわからない。が、「泉」はハイボール、「息」はサイダーということだけは、妙に腑に落ちてしまったため、すぐおぼえた。
虎落笛
虎落笛(もがりぶえ)の解説がさっぱり意味が分からなくて面白かったので引用。
冬の寒風が柵や竹垣に吹き当たってヒューヒューなる現象。物理的には障害物の風下側にできるカルマン渦によって起こるエオルス音である。
今後は虎落笛が聞こえたら「寒いな~」ではなく「これはカルマン渦によって起こるエオルス音…!」と思うことにしよう。
「もがる」(動詞)は近世の言葉で「強請る」。
「殯(もがり)」は「あらき」と同じ、貴人の葬送儀礼で埋葬までしばらく安置しておくこと。
純黒の悪夢
劇場版名探偵コナン「純黒の悪夢」を観た。劇場版に限らずコナンを観ること自体が久しぶりで、知らない人が主役級に活躍していて、おもしろかったけど少し置いてけぼりを食った。
どうやら日本で違法捜査をするFBIにブチ切れている公安の人らしい。普段は毛利小五郎の弟子やら喫茶ポアロの店員としてぶりっ子して(愛想を振りまいて)いるが、FBIを目の前にすると敵意むき出し。
犯人に対しても「さあ、言い逃れしてくださいよお?」と煽る。なんだこいつは。
ちなみに死んだ赤井秀一は別人に変装して平穏な日常を満喫していた。
正体を知った上で見るとキャラぶれが激しい。物腰柔かな青年のわりにくそ図々しいし手はポケットに突っ込むし、お料理設定を付けたわりにカレーやシチューなど煮込みものばっかり作ってる。
雑か。